2025.01.24
あおみ建設株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:河邊 知之、以下「当社」)は、音波の反射が顕著な浅い水中環境での高精度測位を世界に先駆け実現し、当社が受注した公共工事で活用を重ねてきました。この度、国産の測位装置として、耐マルチパス水中音響測位システム「そこにイルカ」の販売に向け、2025年1月29日から31日まで、東京ビックサイトで開催されるOffshore Tech Japan 2025にて本測位装置を展示することをお知らせいたします。
当社は、海洋土木工事で活用する水中建設機械(水中バックホウ)を開発し、潜水士の重労働で危険な作業を機械化することで、安全と生産性の向上を図ってきました。近年、建設業界の技能者不足への対応と、安全と生産性の両立のために、国土交通省は、情報通信技術を活用した技術開発(i-Construction)を推進しています。当社は、水中バックホウを水上から遠隔操縦することで、水中の視界や水深に左右されず効率的な作業を実現したいと考え、技術開発に取り組んできました。しかし、浅海域では、音波の多重反射(マルチパス)が発生し、従来の水中測位装置では高精度測位が困難でした。
その課題を解決するために、当社は2018年より国立大学法人筑波大学と共同で、国産の高精度水中音響測位システムの開発を開始。不安定な測位の原因である反射波を排除する信号フィルタリング技術により、浅海域で安定かつ精度良く測位できる技術を実現しました。2022年3月には国内特許を取得し、世界初の技術として、現在国際特許を出願中です。また、2023年5月には海洋音響学会から「業績賞」を受賞するなど、高く評価されています。
この技術は、国が発注する港湾工事にて、当社の水中バックホウ「スーパービッグクラブ」のICT施工の中核となる水中バックホウガイダンスシステムに実装して、作業の生産性向上に寄与するとともに、水中測位装置単体でも他の公共港湾工事にて活用し、装置の検証と性能の向上を重ねてまいりました。
今後、洋上風力発電など沿岸域の活用が期待される中、水中ロボット(ドローン)による点検やパトロールがますます重要になることが予想されます。当社は、これら小型の水中移動体への実装に向けて、装置の小型化と操作簡略化を進めています。今月末に開催されるOffshore Tech Japan 2025にて、実工事で使用した測位装置を展示いたします。今後、販売に向けて準備を進めるとともに、ユーザーの声に耳を傾けてさらなる改良と研究開発を推進し、今後の海洋産業の発展に貢献できる国産初の耐マルチパス水中音響測位装置として育てていく所存です。
本件に関する問い合わせ先
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