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水中土砂ポンプ浚渫工法

ため池の放射性物質対策
汚濁発生を抑え、水底土砂の表層部に堆積する放射性セシウムを含有する土砂を回収する工法です。

特許番号 第6267672号

工法の概要

 福島県内のため池の底質に存在する放射性物質対策については、早期の環境回復に取り組むべき重要な課題となっています。
 当社では、福島県のため池放射性物質対策に関連して平成25年度除染技術実証事業(環境省)を経て、平成26年度より福島県と福島県土地改良事業団体連合会指導のもと「ため池等汚染拡散防止対策実証事業」に参画、平成29年度より「ため池放射性物質対策事業」において本格的な浚渫作業を開始しております(現在、南相馬市内において2基の施工設備が稼働中)。
施工システム全体イメージ図

浚渫台船

ため池浚渫台船1号機(SUS台船)
施工状況全景
水上設備
組立式台船(4m×4m)SUS:ステンレス台船
4点遠隔操作ウインチ装備
遠隔操作式ポンプ浚渫設備(4m² 型)
3t油圧リフト装置、サンドポンプ、水中振動スクリーン
陸上設備
施工管理室(ユニットハウス)
ポンプ浚渫用陸上設備(高圧ポンプ、発電機)
濁水処理設備(組立式 60m³/h)
脱水処理設備(自然脱水併用加圧(5.1tf)脱水)
4.9tクローラクレーン
ため池浚渫台船2号機(FRP台船)
 平成26年度の実証事業より稼働中の1号機に加えて、平成29年11月より組立式FRP(繊維強化プラスチック)台船を使用した軽量型の2号機の稼働を開始しました。

課題と対策

 「ため池等」の浄化には、水底土砂の表層部に堆積する放射性セシウムを含有する土砂を除去する必要がありますが、以下の課題がありました。
  • 一般的な浚渫工法(グラブ浚渫、バックホウ浚渫)では、薄層での浚渫施工は難しく、その除去量は余掘り等を含め膨大なものになる。
  • ため池表層部の高含水粘土は、非常に鋭敏であり少しの刺激で容易に浮泥化するため確実な除去には工夫が必要。
  • 汚染は水中の浮遊懸濁物質(汚濁)として下流域へと拡散するため汚濁の発生防止措置が必要。
  • 福島県内の農業ため池はアクセス道路が狭隘で、大型車での機材搬入が不可能な場所がほとんどであり、従来の浚渫装置での水上施工は搬入作業自体が困難であることが多い。

 上記課題克服のため、汚濁発生を極力避けた上で、浮泥とともに表層部の確実な回収ができ、小型・中型トラックで搬入が可能な施工機資材であること等を条件に新規開発したものが、「水底土砂ポンプ浚渫工法」です。
工法の原理(施工手順)は以下のとおりです。
ポンプ浚渫施工概念図
  1. 水中ロッド(鋼製ケーシング)内をポンプ排水しながら先端部を水底部に貫入して根入れさせる。
  2. ジェット水流により所定の施工層厚の土粒子をケーシング内に浮遊させる。
  3. ミキサーによりケーシング内に循環対流を生じさせ、浮遊させた土粒子を撹拌する。
  4. 振動ふるいを通過する泥水は、排水ポンプにより陸上に回収する。
  5. ケーシング内の泥水を排出した段階でジェット水流と撹拌を停止する。
  6. 排水を継続したまま、ケーシングを引き抜き移動する。
 上記を繰り返すことで浚渫施工を行います。浚渫した泥水は陸上に配置したプラントで濁水処理(凝集沈殿処理)、脱水処理を実施します。
 本工法は、水底部に貫入する装置内部の閉鎖された領域のみを浚渫するため、表層部の確実な除去ができるとともに施工中の濁りが発生しないことを特徴とします。
 組立式小型フロート(4.0m×4.0m)を使用することで、さまざまな条件のため池で使用可能です。水上設備は専用施工管理装置により、陸上から遠隔操作(水上無人)および施工管理を行い施工層厚、施工位置等の管理は1cm単位で制御することが可能です。また、事前事後の水底面の放射線量をリアルタイムに計測することで施工品質(放射性物質の確実な除去)を確保します。施工に用いる資機材(浚渫設備、濁水処理設備、脱水処理設備)は、すべて2t以内の機材で構成しており、ため池堤体上への搬入配置が可能です。
 福島県では、多くのため池において放射性物質対策が求められています。当社では、本工法の活用のみにとどまることなく、様々な技術ノウハウの提供も含め、被災地の復興を支援して参ります。

技術実証事業における実績

  • 平成25年度 除染技術実証事業(環境省)採択技術
  • 平成26年度 ため池等汚染拡散防止対策実証事業(福島県)採択技術


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